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「相続した実家が空き家のままになっている。名義変更を司法書士に頼まず自分でできるのか、何をどの順番でそろえるのかが分からない」
相続登記は、法務省が42ページの手引きを公開している手続きです。申請書の様式も、記載例も、提出前のチェックリストも、法務局のサイトから誰でも取り出せます。自分で申請する人が使える資料が、国の側からそろえて出されているということです。
手が止まりやすいのは申請書の書き方ではなく、その前の書類集めです。
亡くなった人の戸籍を出生までさかのぼる作業と、相続人全員の実印・印鑑証明書をそろえる作業。手引きも「場合により、多数の戸籍をさかのぼる必要があることもあります」と書いており、ここが読めない期間になります。
申請書は何枚か
A4の用紙に、登記の目的から不動産の表示までの項目を書きます。様式は法務局のサイトで公開されています
戸籍はどこで取るか
2024年(令和6年)3月1日から、本籍地以外の市区町村の窓口でもまとめて請求できるようになりました(広域交付)
いくらかかるか
登録免許税は評価額の0.4%。土地の価額が100万円以下なら、2027年(令和9年)3月31日までは非課税になる場合があります
- 法務局が用意している4つ(様式と記載例・手引き・必要書類の一覧表・提出前チェックリスト)と、1回20分の登記手続案内でできること
- 法務局が答えられないこと(遺産の分け方と、遺産分割協議書の作り方)
- 法務省の手引きが示す5つのステップと、それぞれで手が止まる場所
- 戸籍の広域交付でできること・できないこと(郵送と代理人は対象外)
- 遺産分割協議書に押す印と、印鑑証明書の有効期限の扱い
- 登記申請書に書く7項目と、省略できる2か所(住民票コード・不動産番号)
- 登録免許税0.4%の計算の順番と、免税を受けるために申請書へ書く条項
- 相続関係説明図を出すと戸籍が返ってくる仕組み(原本還付)
- 提出の3通り(窓口・郵送・オンライン)と、受け取る2つの書類が再発行されないこと
- 提出前チェックリスト11項目と、自分で進めるのが難しくなる5つの場合
実家の空き家の名義変更は自分でできるのか|国が「自分で申請する人向け」の手引きを出している
手引きが想定している範囲――相続人がそろい、分け方が決まっている形であれば、自分で申請する道が用意されています。判断の材料は、法務省・法務局が公開している資料そのものです。当てはまらない形は、記事の終わりで5つに分けて挙げます。
法務省民事局は「登記申請手続のご案内(相続登記①/遺産分割協議編)」という手引きを出しています。令和8年4月版で全42ページ、表紙に「登記手続ハンドブック」と書かれています。中身は、戸籍の集め方から登記完了までを、ステップごとに図入りで説明したものです。
この記事は、その手引きと関連する公開資料を、実際に手を動かす順番に並べ直したものです。
法務局が用意している4つ
① 申請書の様式と記載例
「不動産登記の申請書様式について」のページで、一太郎・Word・PDFの3形式で公開されています。相続の区分だけでも、法定相続・遺産分割・数次相続(名義を動かさないうちに次の相続が起きた形)・公正証書遺言・自筆証書遺言と分かれています
② 手引き(ハンドブック)
遺産分割協議編と法定相続編のほか、相続人に対する遺贈編もあります。いずれも令和8年4月10日更新と表示されています
③ 必要書類の一覧表
「相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等」。遺産分割・法定相続・遺言ありの3つの場合が1枚ずつの表になっています
④ 提出前のチェックリスト
手引きの巻末に11項目。押印忘れ、契印忘れ、収入印紙の貼り忘れなど、出し直しの原因になりやすいところが並んでいます
さらに、書き方が分からなくなったときのために登記手続案内があります。法務局の案内には「登記手続案内の御利用時間は1回当たり20分以内であり、完全予約制となっております」と書かれています。電話・法務局窓口での対面・ウェブ会議サービスの3つから選べます。
法務局が答えられないこと
手引きにも「法務局(登記所)では、遺産の分割の方法や、遺産分割協議書の作成についてのお問合せ・ご相談にお応えすることができません」と書かれています。
つまり、きょうだいの間で分け方が決まっていない段階では、登記手続案内で聞けることが限られます。先に決めるのは分け方のほうです。
分け方の争いそのものを扱うのは弁護士、話し合いがまとまってからの名義の手続きを扱うのが司法書士、という分かれ方が一般的です。なお法務局の登記手続案内のページも「御自身で登記手続をすることが難しい場合には、司法書士又は土地家屋調査士に依頼することをお勧めします」と書いています。この線引きは相続登記の義務化の記事でも触れています。司法書士・税理士・弁護士の業務範囲を条文で並べたものは誰に相談するかの記事にまとめています。
全体の流れ|法務省の手引きが示す5つのステップ
手引きは、遺産分割協議による相続登記を次の5段階で説明しています。
- 戸籍の証明書の取得相続が始まったことの証明と、法定相続人の特定。亡くなった人の出生から死亡までの戸籍と、相続人の戸籍をそろえます
- 遺産分割協議・協議書の作成誰がその不動産を相続するかを話し合い、書面にします。相続人全員が実印を押し、印鑑証明書を添えます
- 登記申請書の作成A4の用紙に項目を書きます。登録免許税の計算と、添付書類の準備もここに含まれます
- 登記申請書の提出不動産の所在地を管轄する法務局へ、窓口持参・郵送・オンラインのいずれかで出します
- 登記完了登記完了証と登記識別情報通知書を受け取って終わりです
そこから外れる場合(次の相続が重なっている、遺言がある)は、様式そのものが別に用意されています。どれに当たるかは、戸籍を集めた段階で見当がつきます。

ステップ①|戸籍を集める。2024年3月から1か所でまとめて請求できる
集める戸籍は2種類あります。どちらも役割がはっきり決まっています。
何のために集めるのか
表は横にスクロールできます
| 誰の戸籍か | どこまで必要か | 何を証明するためか |
|---|---|---|
| 亡くなった人 | 出生から死亡まで、在籍していた全ての戸籍・除籍・改製原戸籍(かいせいげんこせき=法律の改正で作り直される前の、古い様式の戸籍) | 相続が始まったことと、ほかに相続人がいないこと |
| 相続人 | 亡くなった日以降に発行されたもの | 協議をした時点で、その人が相続人の立場にあること |
亡くなった人の戸籍を出生までさかのぼるのは、ほかに子がいないことを確かめるためです。結婚などで新しい戸籍が作られていると、その前の戸籍にさかのぼらないと分かりません。手引きにも「場合により、多数の戸籍をさかのぼる必要があることもあります」と書かれています。
広域交付でできること・できないこと
2024年(令和6年)3月1日から、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍証明書を請求できるようになりました。法務省はこれを広域交付と呼んでいます。本籍地が全国各地にあっても、1か所の市区町村の窓口でまとめて請求できると案内されています。
ただし、条件が3つあります。
- 請求できる人が限られる:本人、配偶者、直系尊属(父母、祖父母など)、直系卑属(子、孫など)の戸籍だけです。おじ・おば・きょうだいの戸籍は対象から外れます
- 窓口に行くことになる:法務省の案内は「郵送や代理人による請求はできません」と明記しています。顔写真付きの身分証明書の提示も求められます
- 古い戸籍は出ないことがある:「コンピュータ化されていない一部の戸籍等を除く」という但し書きが付いています。古い改製原戸籍は、結局その本籍地の市区町村に請求することになる場合があります
親が亡くなって子が相続人になるときは、子から見て親は直系尊属なので広域交付が使えます。一方、子がいない人の相続できょうだいが相続人になる場合では、亡くなった人の戸籍をきょうだいが広域交付で取ることはできません。この場合は本籍地ごとの請求に戻ります。
戸籍の束を1枚にまとめる制度
集めた戸籍の束を法務局に出して、相続関係を一覧にした図(法定相続情報一覧図)を確認してもらうと、認証文の付いた写しが無料で交付されます。法定相続情報証明制度といい、2017年(平成29年)5月に作られたものです。
この写しがあると、相続登記の申請で戸籍の束の添付に代えられます。手引きは、一覧図の写しを出す方法と、一覧図の写しの右上に書かれた法定相続情報番号を申請書に書く方法の2通りを挙げています。銀行の手続きなどが並行しているときは、束を何組も作らずに済みます。一覧図の作り方と申出の手順は法定相続情報一覧図の作り方(相続登記の義務化の記事)で詳しく扱っています。
ステップ②|遺産分割協議書は実印。印鑑証明書に3か月の縛りはない
誰がその不動産を相続するかを話し合い、書面にします。手引きが示している決まりは2つです。
押す印
相続人全員が、印鑑証明書と同じ印(実印)を押します
添える証明書
協議をした相続人の印鑑証明書を各1通。ただし登記を申請する本人のぶんは除きます
不動産の売買では3か月以内を求められることがあるため、同じつもりで取り直す人がいます。相続登記の添付書類としては、手引きがはっきり「制約はありません」と書いています。
なお、相続人の中に未成年者がいる場合や、判断能力が落ちている人がいる場合は、その人に代わって協議に加わる人を決める手続きが別に必要になることがあります。この記事で一般化して書ける範囲を超えるため、当てはまりそうなときは家庭裁判所や専門家に確かめておく必要があります。
ステップ③|登記申請書に書く7項目
申請書はA4の用紙1枚から数枚です。手引きは項目ごとに説明を付けています。
表は横にスクロールできます
| 項目 | 書く内容 | 間違えやすいところ |
|---|---|---|
| ① 登記の目的 | 「所有権移転」 | 相続登記は所有権の移転の登記に当たります |
| ② 原因 | 相続が開始した日(亡くなった日) | 遺産分割協議が成立した日ではありません |
| ③ 相続人 | 亡くなった人の氏名と、相続する人の住所・氏名。押印は認印(印鑑登録をしていない印鑑)で可 | 住所と氏名は住民票の写しのとおりに書きます |
| ④ 添付情報 | 「登記原因証明情報 住所証明情報」 | 書面の現物は別に付けます |
| ⑤ 登記識別情報の通知希望 | 希望しない場合だけ□にチェック(登記識別情報=いわゆる権利証にあたる符号) | チェックの入れ忘れ・入れ間違い |
| ⑥ 申請の年月日と提出先 | 申請する年月日と、管轄の法務局 | 管轄は不動産の所在地で決まります |
| ⑦ 課税価格と登録免許税 | 価格と税額。免税の場合は条項を書きます | 「価格(評価額)」と「固定資産税課税標準額」の取り違え |
7項目のほかに、申請書の末尾には不動産の表示という欄があります。ここは項目というより書き写す欄で、登記事項証明書に書かれているとおりに正確に写します。
原因の日付は「亡くなった日」
手引きは、原因の欄について「相続が開始した日(被相続人(亡くなった方)が死亡した日)を記載します。遺産分割協議が成立した日ではありませんので、注意してください」と書いています。
協議が何年も後にまとまった場合でも、原因の日付は動きません。
省略できる2か所
住民票コード
申請書に住民票コードを書くと、住所証明情報(住民票の写し)の添付を省略できます。記載そのものは必須ではありません
不動産番号
13桁の不動産番号を書くと、土地は所在・地番・地目・地積、建物は所在・家屋番号・種類・構造・床面積の記載を省略できます。分譲マンション(敷地権付き区分建物)は別のルールで、「敷地権の種類」「敷地権の割合」以外を省略できます
不動産番号は登記事項証明書に書かれています。分からないときは書かなくてもかまいません。その場合は、登記事項証明書のとおりに項目を書き写すことになります。登記事項証明書は書面請求で1通600円です(2025年(令和7年)4月1日からの額)。
検索用情報の欄|2025年(令和7年)4月21日から記載が必要
手引きは、申請人である相続人について氏名ふりがな・生年月日・メールアドレスも書くよう案内しています(住所が海外の人は記載不要)。あわせて、平日の日中に連絡を受けられる電話番号の欄があります。書類の不足や記載の誤りがあったときに、法務局の担当者から連絡が入る先です。
これらは検索用情報と呼ばれるもので、法務省は「令和7年4月21日から、所有権の保存・移転等の登記の申請の際には、所有者の検索用情報を併せて申し出る(申請書に記載する)ことが必要になっています」と案内しています。2026年(令和8年)10月5日以降に申し出る場合は、これに加えて国籍等の情報も申し出ることとされました。
連絡が来た時点で本人が回答しない限り、職権の登記までは進みません。「登録しておけば自動で直る」という作りではない点は、手引きの書き方から読み取れます。

登録免許税|0.4%の計算と、土地が100万円以下なら非課税になる場合
相続による所有権の移転の登記の税率は1,000分の4(0.4%)です。法務局の「登録免許税の計算」は、相続または法人の合併による移転を1,000分の4、贈与や財産分与などその他の原因を1,000分の20と分けて示しています。
計算のもとは「価格(評価額)」であって、課税標準額ではない
計算のもとになるのは、固定資産課税明細書で一般的に「価格」または「評価額」と書かれている額です。法務局の資料は「『固定資産税課税標準額』ではありません」とわざわざ断っています。
同じ紙に2つの数字が並んでいることがあり、住宅用地の特例などで下がったほうの額を使うと、納める税額が不足して補正を求められることがあります。
なお、この記事では登録免許税の計算のもとを「価格(評価額)」、免税の条文が使う金額を「価額」と書き分けています。読みは同じでも、指しているものが違います。
明細書をなくした場合は、市区町村が発行する固定資産税の課税証明書などで確かめられます。私道などで固定資産課税台帳の価格がない土地は、法務局が認定した価額になるため、管轄の法務局に問い合わせることになります。
計算の順番|合計してから切り捨てる
土地と建物を同じ申請書で申請する場合、相続はどちらも税率が1,000分の4なので、価格を合計してから計算します。手引きは「複数の不動産を同一の登記申請書で申請する場合は、それぞれの不動産の固定資産課税台帳の価格の合計額から、1,000円に満たない額を切り捨て」と説明しています。
- 価格を合計する土地4,820,700円+建物3,150,400円=7,971,100円
- 1,000円未満を切り捨てる課税価格 7,971,000円
- 0.4%を掛けて100円未満を切り捨てる31,884円 → 登録免許税 31,800円
※この数字は、当サイトが法務局「登録免許税の計算」の手順に架空の価格を当てはめて計算した参考値です。実際の額は、手元の固定資産課税明細書の価格で計算した額になります。計算した額が1,000円に満たないときは1,000円です。
免税は、申請書に条項を書かないと受けられない
相続登記の登録免許税には、2027年(令和9年)3月31日までの免税措置があります。対象は2つです。
表は横にスクロールできます
| どんな場合か | 申請書に書く条項 | 期間 |
|---|---|---|
| 相続で土地を取得した人が、その相続登記を受ける前に亡くなった場合 | 租税特別措置法第84条の2の2第1項により非課税 | 2018年(平成30年)4月1日から2027年3月31日まで |
| 不動産の価額が100万円以下の土地の場合 | 租税特別措置法第84条の2の2第2項により非課税 | 2018年11月15日から2027年3月31日まで |
- 対象は土地です:法務局の案内も国税庁のリーフレットも「土地」と書いています。建物は免税の対象に挙げられていません
- 条項を書かないと適用されません:法務局は「記載がない場合は、免税措置は受けられません」と注記しています。免税のときは「登録免許税」欄に税額ではなく条項を書き、課税価格の記載も不要です
- 100万円以下は全国の土地が対象です:令和7年度の税制改正で、適用期限が2027年3月31日まで延長され、あわせて対象が全国の土地に広がりました
- 持分の場合の見方:不動産全体の価額に持分の割合を掛けて計算した額が、その人の不動産の価額になります
添付書類・原本還付・税金の納め方
添付書類は原本を出します。手引きははっきり「コピーは不可」と書いています。ただし、一定の場合は原本を返してもらえます。
手元でそろえるときに落としやすいものが2つあります。
- 固定資産課税明細書は年度が決まっています:必要書類の一覧表は「登記申請をする日の属する年度のものが必要です」と書いています。去年の分では通りません
- 登記上の住所と本籍が違うとき:戸籍上の亡くなった人と登記上の所有者が同じ人だと示すため、住民票の写し・住民票の除票の写し・戸籍の附票の写しのいずれかを添えることになります
相続関係説明図を出すと、戸籍が返ってくる
通常の原本還付は、返してほしい書類のコピーを作り、そのコピーに「原本に相違ありません」と書いて、申請人が署名(記名)押印したものを申請書に添えます。別に還付の請求書を作る必要はありません。
相続登記では、これより軽い方法が用意されています。相続関係説明図を提出すると、戸籍の証明書のコピーを作らずに原本を返してもらえます。手引きは「戸籍の証明書のコピーの作成・提出は不要です」と書いています。戸籍が10通20通になる家では、コピー代と手間がそのまま浮きます。
法定相続情報一覧図とは別のもので、こちらは法務局の認証を受けません。
納め方は、現金納付か収入印紙か
書面で申請する場合の納め方は2つです。手引きは①現金を国(税務署等)に納付し、その領収証書を登記申請書と併せて提出する方法 ②収入印紙を登記申請書と併せて提出する方法と並べています。
上の計算例(31,800円)のように3万円を超えるときは、どちらの方法になるかを提出先の法務局で確かめておくと、当日の持ち物が決まります。
- 領収証書も収入印紙も、登記申請書に直接貼らず、別の白紙(台紙)に貼ります
- 台紙は登記申請書とホチキスでとじ、登記申請書と台紙の間に契印(紙と紙のつなぎ目にまたがるように押す印)をします
- 収入印紙そのものには押印をしません
- 免税の場合は、収入印紙等貼付台紙そのものが不要になります
用紙の扱いにも決まりがあります。A4の縦置き・横書き、片面印刷、長期間保存することができる丈夫な紙を使います。文字はパソコンか黒インク・黒ボールペンで、鉛筆とインクが消せるペンは使えません。登記申請書が複数枚にわたる場合は、つづり目に契印をします。

ステップ④⑤|提出と受け取り。登記識別情報は再発行されない
提出は窓口・郵送・オンラインの3通り
提出先はその不動産の所在地を管轄する法務局です。管轄は法務局のサイトの「管轄のご案内」で調べられます。実家と自宅が離れている場合、行き先は自宅の近所ではなく実家側の法務局になります。持参が難しいときは、次の郵送・オンラインの方法があります。
郵送で出す場合は、封筒の表面に「不動産登記申請書在中」と記載の上、書留郵便により送付します。オンラインで申請する方法もあり、法務省の「登記・供託オンライン申請システム」で申請書を作って送信します。手引き自体は、書面による方法(持参または郵送)を例に説明しています。
受け取るものは2つ
登記が終わると、法務局から登記完了証と登記識別情報通知書が交付されます。登記識別情報は、アラビア数字その他の符号の組合せからなる12桁の符号で、不動産ごと・登記名義人ごとに決まります。次にその不動産を売るときなどに、本人確認の手段として使うものです。
手引きの末尾にそのまま書かれています。受け取ったら、権利証と同じ扱いで保管する書類になります。
また、複数の相続人のうち1人が申請人になって申請した場合、申請人にならなかった相続人には登記識別情報が通知されません。誰が申請人になるかは、後々の手続きにも関わってきます。
- 窓口で受け取る場合:登記申請書に押印したものと同じ印鑑を持参します
- 郵送で受け取る場合:宛名を記載した返信用封筒と郵便切手を、登記申請書とともに提出しておきます。両方を受け取るなら本人限定受取郵便、登記完了証だけなら書留郵便の料金です
提出前チェックリストと、自分で進めるのが難しくなる5つの場合
手引きの巻末チェックリスト(11項目)
出し直しの原因になりやすいところが並んでいます。書き終えたあとに1つずつ当てていくと、差し戻しが減ります。
- 登記申請書に申請人の押印を忘れていないか
- 連絡先の電話番号の記載を忘れていないか
- 申請人の氏名ふりがな・生年月日・メールアドレスの記載を忘れていないか
- 登記識別情報の通知を希望しない場合、該当項目の□へのチェックを忘れていないか
- 申請先の法務局に誤りはないか
- 登録免許税の納付(収入印紙の貼付)を忘れていないか(免税の場合を除く)
- 登記申請書と収入印紙等貼付台紙を重ね合わせて、左側の余白に2か所ホチキスどめしたか
- 登記申請書が複数枚にわたる場合、各用紙のつづり目にする契印を忘れていないか
- 登記申請書と収入印紙等貼付台紙との間にする契印を忘れていないか(免税の場合を除く)
- 添付書面の添付を忘れていないか
- 添付書面の原本の還付を希望する場合、その請求手続を忘れていないか
自分で進めるのが難しくなる5つの場合
手引きが想定しているのは「比較的単純な相続のケース」です。次のどれかに当たると、様式も添付書類も変わります。
表は横にスクロールできます
| 当てはまる形 | 何が変わるか |
|---|---|
| 分け方でもめている | 協議書が作れないため、登記の前段で止まります。法務局は分け方の相談を受けられません |
| 次の相続が重なっている(数次相続) | 「遺産分割(数次相続)」の様式が別に用意されています。集める戸籍の範囲も広がります |
| 遺言がある | 公正証書遺言・自筆証書遺言で様式が分かれます。自筆証書遺言は、法務局に保管されている場合は遺言書情報証明書、それ以外は家庭裁判所での検認が必要です |
| 相続人にきょうだいが入る | 戸籍の広域交付が使えない範囲が出ます。本籍地ごとの請求に戻ります |
| 不動産が複数の管轄にまたがる | 管轄ごとに申請することになります。手間が管轄の数だけ増えます |
当てはまる場合でも、自分でできないと決まったわけではありません。ただ、1回20分の登記手続案内で片づく範囲を超えやすくなります。司法書士に頼んだときの費用の目安は、司法書士報酬の実額(相続登記の義務化の記事)で日本司法書士会連合会(日司連)の報酬アンケートをもとに整理しています。自分でやる場合の実費を書類1通ごとに積み上げた総額は相続登記の費用の記事で扱っています。
名義を整えたあとに決めること|解体の一括見積もりと売却の一括査定、自分で業者を探すときの確認点
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相続登記は、その家の持ち主をはっきりさせる手続きです。壊すか売るかを決めるものではありません。
ただ、工事や売買の契約では、登記上の名義人が誰かを必ず見られます。名義が親のままだと、話がまとまってから契約の段階で書類の追加を求められることがあります。
見積もりや査定を取ること自体は、名義を整える前でも進められます。名義が自分になった時点は、集めた金額をもとに動き出せる区切りにあたります。
このうち一括のサービス2社について、公式の表記は2026年9月13日に確認したものです(解体無料見積ガイドの割合とトップ画面は、2026年10月5日に確認し直しています。)。このうち解体無料見積ガイドは、当サイトが紹介料を受け取る関係にある会社です。HOME4Uからは、紹介料を受け取っていません。
表は横にスクロールできます
| 相談先 | 用途 | 登記が済んだ人にとって、何が前に進むか | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 解体無料見積ガイド | 解体の一括見積もり | 更地にしたときの費用の幅が分かります。断りの連絡は代行してもらえます | 実家が遠く、何社も自分で相手をするのが難しい人 |
| HOME4U | 売却の一括査定 | 建物を残したまま売った場合の見立てが分かります。依頼する会社数を自分で決められます | 壊すか売るかをまだ決めていない人 |
| 自分で探して直接頼む | 解体・売却 | —(1社ずつ連絡して、条件を自分で並べます) | 近所の評判や付き合いを重視したい人 |
解体の一括見積もり最大6社を比較お断り連絡の代行
解体無料見積ガイド
| 運営 | 一般社団法人あんしん解体業者認定協会 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都港区芝浦4丁目12-31 VORT芝浦WaterFront 4階 |
| 業者の条件 | 「解体工事業登録(500万円未満)または建設業許可(500万円以上)を適切に取得し、解体工事施工技士などの有資格者が在籍し、損害賠償責任保険へも加入済みの業者のみをご紹介」 |
| 同時依頼 | 「無料で6社まで比較できます」 |
| 断りの連絡 | 「お断り連絡の代行」 |
| 費用 | 「仲介手数料など一切無料」 |
| 対応エリア | 「全国・即日対応」 |

- 「解体工事をぐっと安く」「無料で6社見積比較!」「独自の審査基準で全国トップ1.8%の優良業者のみ登録」(公式トップの画像内の表記)。公式トップには「令和5年度 空き家対策モデル事業に採択されています 国交省」という表示もあります
- 公式が掲げている「お断り連絡の代行」は、相続で遠方の実家を引き継いだ人には大きな意味があります。名義を整えた直後は、金額の幅だけ先に知りたい段階で、断りの電話を何本もかけたくない場面が出てきます
- 向く人:実家が離れていて現地に何度も行けない人。更地にしたときの費用を、売却の見立てと並べて考えたい人
- 公式は「一括見積もりのご依頼で厳選6社をご紹介。現地測量後、見積もり結果を最短即日でご提出します」と説明しています。金額が出るのは現地を測ったあとなので、遠方の実家では、立ち会いが必要かどうかを申し込みの段階で確かめておくと日程が組めます
- 公式トップの「累計工事契約件数No.1」「評価4.8 GoogleクチコミNo.1」には、画面の下部に「※2023年 12月期_指定領域における市場調査/調査機関:日本マーケティングリサーチ機構」という注記が添えられています。調査の時点は2023年12月期です
- 共有名義のままだと、解体の契約は共有者全員の同意にかかわる話になります。見積もりを取ること自体は先に進められますが、契約の前に名義の整理が必要になる場合があります
売却の一括査定最大6社に一括NTTデータグループ
HOME4U
| 運営 | 株式会社NTTデータ・ウィズ(NTTデータグループ) |
|---|---|
| 所在地 | 東京都江東区豊洲2-1-9 豊洲セイルパークビル15階 |
| 提携社数 | 「厳選2,500社と提携」 |
| 同時依頼 | 「最大6社に一括で査定依頼」 |
| 入力 | 「カンタン1分入力」(画面の最初はマンション一室・一戸建て・土地。ほかの種別も「その他の物件種別から選ぶ」から選べます) |
| 実績 | 公式トップに「売却査定数 累計75万件」(2025年11月現在)と表示 |
| 費用 | 「ご利用0円」 |
| 対応エリア | 全国 |

- 「厳選2,500社と提携」「ご利用0円」「業界初!国内最大級」(公式トップの表記)。運営はNTTデータグループの株式会社NTTデータ・ウィズです
- 物件種別を選んで進む作りで、依頼する会社数を自分で決められます。名義を整えた直後は、連絡が来る本数を抑えて相場の幅だけ知りたい段階になりがちです
- 向く人:壊すか売るかをまだ決めていない人。解体費用の見積もりと、建物を残したまま売った場合の査定額を並べて考えたい人
- 査定額は各社の見立てであって、その額で売れると決まったものではありません。高い額だけを見て選ぶと、後で下がることがあります
- 提携が2,500社でも、地域によって選べる社数は変わります。地方の物件は解体側の見積もりと併せて見ることになります
- 共有名義の家は、売買契約の段階で共有者全員がかかわります。査定を取ること自体は先に進められます
近所の業者に直接頼む場合|名義を整えたあとに確かめる3つ
一括のサービスを使わず、地元の会社に直接頼む道もあります。その場合に見るところは3つです。
- 解体を頼むとき:建設業許可(解体工事業)または解体工事業の登録があるか。登録業者は都道府県のサイトで名簿が公開されています
- 売却を頼むとき:宅地建物取引業の免許番号が店頭やサイトに出ているか。査定の根拠として近隣の成約事例を示せるか
- 共通:登記事項証明書を手元に置いて話すこと。名義・地番・床面積が手元の紙と合っているかは、見積もりでも査定でも最初に確かめられます
市区町村ごとの業者と補助金の実額は、地域別の記事で順に取り上げます。
よくある質問
相続登記を自分でやると、どのくらい日数がかかりますか?
かかる日数は事案によって大きく変わるため、当サイトが目安の日数を示すことは控えます。
幅を決めるのは、亡くなった人の本籍がいくつあるか、相続人が何人いるか、分け方がまとまっているかの3つです。法務省の手引きも「場合により、多数の戸籍をさかのぼる必要があることもあります」とだけ書いており、期間には触れていません。手元でおよその見当を付けるなら、戸籍を1通取り寄せてみて、どこまでさかのぼる必要があるかを確かめるところからになります。
遠くの法務局が管轄です。行かずに済ませられますか?
郵送とオンラインの方法があります。郵送の場合は、登記申請書と添付書面を入れた封筒の表面に「不動産登記申請書在中」と記載の上、書留郵便により送付します。
登記完了証と登記識別情報通知書も郵送で受け取れます。その場合は、宛名を記載した返信用封筒と郵便切手を、登記申請書とともに提出しておきます。両方を受け取るなら本人限定受取郵便、登記完了証だけなら書留郵便の料金です。オンライン申請は法務省の「登記・供託オンライン申請システム」で行います。
戸籍は、住んでいる市区町村の窓口で全部そろいますか?
そろう場合とそろわない場合があります。2024年3月1日から、本人・配偶者・直系尊属(父母、祖父母など)・直系卑属(子、孫など)の戸籍については、本籍地以外の市区町村の窓口でも請求できるようになりました。
ただし法務局の必要書類の一覧表は「コンピュータ化されていない一部の戸籍等を除く。」と但し書きを付けており、古い改製原戸籍は本籍地への請求に戻ることがあります。また、きょうだいの戸籍はこの範囲に入りません。郵送や代理人による請求もできないため、窓口に行くことになります。
固定資産課税明細書が見つかりません。登録免許税はどう計算しますか?
市区町村が発行する固定資産税の課税証明書などで、固定資産課税台帳の価格を確認できます。使うのは明細書で「価格」または「評価額」と書かれている額で、「固定資産税課税標準額」ではありません。
私道などで固定資産課税台帳の価格がない土地は、法務局が認定した価額になります。この場合は、その不動産の所在地を管轄する法務局に問い合わせることになります。
免税にあたる土地です。申請書の「登録免許税」欄には何を書くのですか?
税額ではなく、条項そのものを書きます。不動産の価額が100万円以下の土地であれば「租税特別措置法第84条の2の2第2項により非課税」と記載し、課税価格の記載も不要とされています。収入印紙等貼付台紙も必要ありません。
根拠は、2027年3月31日までの間に受ける相続による所有権の移転の登記について、登録免許税を課さないという定めです。法務局は「記載がない場合は、免税措置は受けられません」と注記しているため、条項を書き忘れると免税は受けられません。なお対象は土地で、建物は挙げられていません。
戸籍の原本は返してもらえますか?
返してもらえます。添付書面は原本を提出しますが、原本の還付を請求すると、法務局での調査が完了した後に返却を受けられます。
相続登記では簡単な方法が用意されていて、相続関係説明図を提出すると、戸籍の証明書についてはコピーの作成・提出をせずに原本が返ってきます。別に還付の請求書を作る必要もありません。銀行など他の手続きで同じ戸籍を使う予定があるときは、この方法で手元に戻せます。
まとめ|止まるのは申請書ではなく、その前の書類集め
相続登記は、法務省が42ページの手引きと様式・記載例・チェックリストを公開している手続きです。流れは戸籍・協議書・申請書・提出・完了の5段階で、時間がかかるのは申請書を書く作業ではなく、その前の戸籍集めと印鑑証明書集めです。登録免許税は価格の0.4%、土地の価額が100万円以下なら2027年3月31日までは条項を書くことで非課税になる場合があります。
先に手を付ける3つ
① 戸籍を1通取る
どこまでさかのぼる必要があるかが分かります。直系なら本籍地以外の窓口でも請求できます
② 課税明細書を探す
使うのは「価格」または「評価額」の欄です。課税標準額ではありません
③ 分け方を決める
ここが決まらないと申請書を書く段階に進めません。分け方の相談は法務局の担当範囲の外です
義務と期限
3年の期限・過料(前科がつく罰金とは別の、行政上の金銭負担)・費用の目安は相続登記の義務化の記事へ
解体した後の登記
取壊しから1か月以内の手続きは建物滅失登記の記事へ
家をどうするか
売る・貸す・壊すの選び方は空き家をどうするかの記事へ
※制度は改正されることがあります。添付書類の範囲や申請書の書き方は、提出先の法務局でご確認いただけます。
この記事で参考にした資料 (2026年9月13日確認・タップで開く)
- 法務省民事局「登記申請手続のご案内(相続登記①/遺産分割協議編)」(令和8年4月・登記手続ハンドブック・全42ページ/5ステップの流れ、戸籍の範囲、遺産分割協議書と印鑑証明書、申請書の各項目、住民票コードと不動産番号による省略、氏名ふりがな・生年月日・メールアドレス、登録免許税の計算と納付、原本還付と相続関係説明図、郵送の方法、登記完了証と登記識別情報通知書、巻末チェックリスト11項目)
- 法務局「不動産登記の申請書様式について」(相続の様式=法定相続・遺産分割・数次相続・公正証書遺言・自筆証書遺言・相続人に対する遺贈。いずれも一太郎・Word・PDF)
- 法務局「登録免許税の計算」(相続または法人の合併による移転は1000分の4、その他の原因は1000分の20/課税標準は1,000円未満切捨て/税額は100円未満切捨て、1,000円未満のときは1,000円/複数の不動産を同一申請書で申請する場合の合算)
- 法務局「相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等」(遺産分割協議の場合・法定相続分の場合・遺言書がある場合の3表/集める書類と作成する書類の区分/※1「コンピュータ化されていない一部の戸籍等を除く。」/固定資産課税明細書は「登記申請をする日の属する年度のものが必要です」/自筆証書遺言は法務局保管なら遺言書情報証明書、それ以外は家庭裁判所での検認)
- 法務局「相続登記の登録免許税の免税措置について」(更新日2026年4月1日/令和9年3月31日まで、100万円以下の土地は全国に拡充、申請書への「租税特別措置法第84条の2の2第1項/第2項により非課税」の記載が必要)
- 国税庁「相続による土地の所有権の移転登記等に対する登録免許税の免税措置について」(令和8年4月/条項の表記を法務局の案内と照合)
- 法務省「戸籍法の一部を改正する法律について」(令和6年3月1日施行/広域交付の対象=本人・配偶者・直系尊属・直系卑属、郵送や代理人による請求はできない、顔写真付きの身分証明書の提示、一部事項証明書・個人事項証明書は請求できない)
- 法務局「『法定相続情報証明制度』について」(平成29年5月創設/認証文を付した写しを無料で交付)
- 法務局「登記手続案内」(1回当たり20分以内・完全予約制/電話・対面・ウェブ会議サービスの3つ)
- 法務局「管轄のご案内」(申請先は不動産の所在地を管轄する法務局)
- 法務省「登記手数料について」(令和7年4月1日〜/登記事項証明書は書面請求600円・オンライン請求送付520円・オンライン請求窓口交付490円)
- 法務省「検索用情報の申出について(職権による住所等変更登記関係)」(更新 令和8年9月7日/令和7年4月21日から申請書への検索用情報の記載が必要、検索用情報の内容は氏名・氏名の振り仮名・住所・生年月日・メールアドレス・国籍等の6つ、令和8年10月5日以降の申出は国籍等も必要、メールアドレスが無い場合は住所へ書面送付)
- e-Gov法令検索「不動産登記法」(所有権の移転の登記の申請に関する規定)
- 業者の公式サイト=解体無料見積ガイド(トップ画面の表記・注記/2026年9月13日確認。割合とトップ画面は2026年10月5日に再確認)・HOME4U 不動産売却査定(トップ画面の表記/2026年9月13日確認)
