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「相続した空き家を売りに出したのに、半年たっても買い手がつかない。不動産会社からは『この家は建て替えができない』『名義が兄弟の共有だと動かせない』と言われた。どうすれば手放せるのか」
売れない空き家には、たいてい①道路との関係 ②名義 ③家そのもののどれかに理由があります。
理由がどれなのかを先に確かめると、打つ手が変わります。道路の問題なら建て替えができるかどうかを市区町村で確認する、名義の問題なら共有者との決め方を整える、家の問題なら建物ごと売るか更地にするかを数字で比べる、という順番です。
この記事は、売れない理由の見分け方と、そこからの出口を1本にまとめたものです。条文は建築基準法・民法の原文、価格の調べ方は国土交通省の公開データで確認しています(2026年9月20日確認)。
道路|どこで確かめる
市区町村の建築の窓口。道路の種類・幅・接している長さを聞きます
名義|どこで確かめる
法務局の登記事項証明書。誰が何分の何を持っているかが分かります
家|どこで確かめる
査定と解体見積もり。建物ごとと更地の2つの数字を並べます
- 売れない理由を3つに切り分ける見方(道路・名義・家)
- 再建築不可かどうかを自分で確かめる4つの点(建築基準法第42条・第43条の原文つき)
- 建て替えができない敷地でも使われている、第43条第2項の認定と許可のしくみ
- 共有名義の家で「誰の同意まで要るのか」(民法第251条・第252条・第256条)
- 売り方4つ(仲介・買取・隣の人に売る・空き家バンク)の違いと、決め方の順番
- 国土交通省の不動産情報ライブラリで、近所の取引価格を自分で調べる手順
- 建物ごと売るか、壊して土地で売るかを比べるときに見る費用と税金
- 査定と解体見積もりの取り方(一括査定・一括見積もりと、自分で探すときの確認点)
相続した空き家が売れない3つの型|まず理由を切り分ける
「売れない」とひとことで言っても、理由が違えば手の打ちようも変わります。不動産会社から言われた言葉を、次の3つに当てはめてみてください。
表は横にスクロールできます
| 型 | 言われる言葉の例 | 確かめる場所 | この記事の該当箇所 |
|---|---|---|---|
| ① 道路 | 「建て替えができません」「再建築不可です」「接道が足りません」 | 市区町村の建築指導の窓口(建築基準法の担当) | 次の章 |
| ② 名義 | 「共有者全員の同意が要ります」「名義が亡くなったお父さんのままです」 | 法務局(登記事項証明書) | 共有名義の章 |
| ③ 家そのもの | 「この状態では買い手が限られます」「解体費を引いた値段になります」 | 不動産会社の査定・解体業者の見積もり | 売り方の章・建物ごとか更地かの章 |
①と②は、書類と窓口で白黒がつく問題です。値下げだけでは変わりません。逆に③は値段と売り方の問題なので、数字を並べれば判断できます。
このため、最初にやることは値下げではなく、①と②に当てはまるかどうかの確認です。

① 道路の問題|再建築不可かどうかを自分で確かめる
「再建築不可」は、法律の条文に出てくる言葉ではありません。建築基準法が定める道路との関係を満たさないため、いま建っている家を壊すと新しい家を建てられない敷地を、不動産の現場でそう呼んでいます。
条文が決めているのは「2メートル」と「4メートル」
建築基準法第43条第1項は、敷地と道路の関係をこう定めています。
「建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。第四十四条第一項を除き、以下同じ。)に二メートル以上接しなければならない。」(建築基準法第43条第1項)
ここでいう「道路」も、同じ法律の第42条第1項で定義されています。
「この章の規定において「道路」とは、次の各号のいずれかに該当する幅員四メートル(特定行政庁がその地方の気候若しくは風土の特殊性又は土地の状況により必要と認めて都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内においては、六メートル。…)以上のもの(地下におけるものを除く。)をいう。」(建築基準法第42条第1項)
つまり、幅4m以上の「道路」に、敷地が2m以上接していることが原則です。昔からある住宅地では、前の道が4m未満だったり、敷地まで細い通路でつながっていたりして、この条件に届かない土地があります。
窓口で確かめる4つの点
登記の書類だけでは分かりません。市区町村の建築を担当する窓口(建築指導課など。町村では都道府県の土木事務所のこともあります)で、次の4点を聞きます。
- 前の道は建築基準法の「道路」か:道路の種類(第42条第1項第1号〜第5号、第2項など)を聞きます
- 道路の幅はいくつか:4m未満でも第42条第2項の道に指定されていれば、道路の中心から2m下がった線まで敷地を後退させる扱い(セットバック)になります。その指定があるかを確かめます
- 敷地が接している長さは2m以上あるか:旗のような形の敷地(旗竿地)は、通路部分の幅が焦点になります
- 第43条第2項の認定・許可の実績があるか:同じ地区で過去に認められた例があるかを聞きます
建て替えの道が完全に閉じているとは限らない
第43条第2項は、第1項を適用しない場合を2つ挙げています。
「一 その敷地が幅員四メートル以上の道(道路に該当するものを除き、避難及び通行の安全上必要な国土交通省令で定める基準に適合するものに限る。)に二メートル以上接する建築物のうち、利用者が少数であるものとして…特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるもの」
「二 その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの」(建築基準法第43条第2項)
1号が「認定」、2号が「許可」と呼ばれる道です。認められるかどうかは敷地ごとの判断で、特定行政庁(建築主事を置く市町村ではその市町村長、それ以外の区域は都道府県知事)が決めます。ここを確かめずに「再建築不可だから二束三文」と決めてしまうと、本来より安く手放すことになりかねません。
注意:第43条第3項は、地方公共団体が条例で制限を追加できると定めています。袋路状道路(行き止まりの道)にだけ接する敷地や、延べ面積の大きい建物では、条例の上乗せがあることがあります(袋路状道路の号は、延べ面積150㎡超の建物が対象で、一戸建ての住宅は除かれています)。窓口では条例の有無もあわせて聞いてください。
② 名義の問題|共有名義の家で、誰の同意まで要るのか
きょうだいで相続した実家は、共有名義になっていることがあります。共有の家をどう動かせるかは、民法が行為の重さで分けています。
表は横にスクロールできます
| 行為 | 民法の定め(原文) | 条文 | 空き家での例 |
|---|---|---|---|
| 変更 | 「各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。…)を加えることができない」 | 第251条第1項 | 家や土地そのものを売る・建物を壊す |
| 管理 | 「共有物の管理に関する事項…は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する」 | 第252条第1項 | 短期の賃貸に出す・管理を誰かに任せる |
| 保存 | 「各共有者は、前各項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる」 | 第252条第5項 | 雨漏りの応急修理・草刈り |
| 分割 | 「各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。」 | 第256条第1項 | 話がまとまらないときの出口 |
家や土地そのものを売ることは、条文の「変更」と同じく共有者全員の同意が必要とされる場面です。共有者の1人でも反対すれば、家そのものは売れないことになります。逆に、草刈りや応急修理のような保存行為は、1人で進められます。
なお、自分の持分だけを手放す形は、家そのものを売るのとは別の話です。扱う会社が限られるため、実際にできるかどうかは不動産会社や司法書士に確かめてください。
連絡が取れない共有者がいるとき
2023年(令和5年)4月に施行された改正で、所在が分からない共有者や、返事をしない共有者がいる場合の道が民法に入りました。
- 所在が分からない:共有者の請求により、裁判所が、その共有者以外の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をする道があります(第251条第2項)
- 催告しても賛否を明らかにしない:管理に関する事項について、その共有者以外の持分の過半数で決められる旨の裁判の道があります(第252条第2項第2号)
制度の全体像は、法務省の「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し」のページにまとまっています。裁判所の手続きが必要なため、実際に使うかどうかは司法書士・弁護士に相談することになります。
話がまとまらないときの分割請求
民法第256条第1項は「各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。」と定め、第258条第1項は、協議が調わないとき、または協議をすることができないときに、裁判所へ請求できるとしています。
ただ、実家の売却でこれを持ち出すと、きょうだいの関係が長く残る争いになります。先にやることは、名義を現状に合わせることです。亡くなった親の名義のままなら、まず相続登記をします(相続登記を自分でやる手順の記事、相続登記の費用の記事)。

③ 家の問題|売り方は4つ、決める順番がある
道路と名義に問題がないなら、残るのは「いくらで、どの方法で売るか」です。空き家の出口は大きく4つあります。
表は横にスクロールできます
| 売り方 | 相手 | 金額の出方 | 時間 | 向く家 |
|---|---|---|---|---|
| 仲介 | 個人の買い手 | 相場に近い。ただし売れるまで決まらない | 数か月〜1年以上 | 住める状態で、需要のある場所の家 |
| 買取 | 不動産会社 | その場で金額が出る。仲介より低くなりやすい | 数週間〜2か月 | 傷みが強い・共有持分・再建築不可など、買い手が限られる家 |
| 隣の人に売る | 隣地の所有者 | 相対(あいたい)の話し合い | 相手次第 | 接道が足りない土地・細長い土地 |
| 空き家バンク | 移住希望者など | 自分で価格を決める | 登録から長期 | 市区町村が制度を持ち、需要のある地域の家 |
決める順番は、まず仲介と買取の査定を取って金額の幅を見てから、隣地や空き家バンクを考える形になります。金額が分からないまま相手だけ変えても、比べる物差しがないためです。査定を取るサービスの違いは空き家の一括査定を9項目で比べた記事にまとめています。
再建築不可の土地は、隣の土地と一体になれば建て替えができる形に変わることがあります。接道が足りない敷地では、隣地の所有者は買う理由を持ちやすい相手です。仲介と買取の査定を取るときに、隣地への打診を同時に進めるかどうかも、不動産会社と相談しておくと動きが早くなります。
仲介で出す
相場に近い値段を狙えます。売れるまでの間も、固定資産税と管理は続きます
買取に出す
その場で金額が出ます。仲介より低くなりやすい代わりに、期日を決めて手放せます
隣に声をかける
接道が足りない土地では、隣の所有者が買う理由を持つことがあります。不動産会社に打診の可否を相談します
仲介・買取・空き家バンクの違いと媒介契約の決まり(有効期間・報告・レインズ登録)は、相続した空き家を売る手順の記事で扱っています。ここでは「売れない家」に絞って、金額の見当のつけ方を先に置きます。
近所の取引価格を、自分で調べる|国土交通省の不動産情報ライブラリ
査定額が妥当かどうかを判断するには、比べる物差しが要ります。国土交通省は、実際に不動産を取引した人へのアンケートをもとにした価格情報を公開しています。
国土交通省は「平成18年4月より、不動産取引当事者へのアンケート調査をもとに情報を蓄積」しているとし、提供している取引価格情報を約547万件(令和7年3月31日時点)としています。(国土交通省「不動産取引価格情報提供制度」)
公開されている項目は、所在地(町・大字レベル)、取引時期、取引価格(有効数字2桁)、土地の面積・形状、建物の用途・構造、床面積、建築年、前面道路、最寄駅、用途地域、建ぺい率、容積率等とされています。番地までは出ませんが、同じ町内で、いつ、どれくらいの広さが、いくらで動いたかは分かります。
- 不動産情報ライブラリを開く:国土交通省のサイト(reinfolib.mlit.go.jp)の不動産価格(取引価格・成約価格)情報の画面を開きます
- 条件を入れる:都道府県・市区町村・地区、取引の時期、種類(土地、土地と建物、など)を指定して検索します。結果はCSVでダウンロードもできます
- 自分の家に近い行だけを残す:面積・建築年・前面道路の幅が近いものを並べます。前面道路の幅は、再建築不可かどうかを考えるうえでも手がかりになります
読み方の注意:価格は有効数字2桁で、所在地も町・大字までです。1件だけを見て「うちも同じ値段で売れる」とは読めません。件数を並べて幅を見るために使い、最後は現地を見た査定と突き合わせます。
建物ごと売るか、壊して土地で売るか
買い手が見つからないとき、「更地にすれば売れるのでは」と考えることがあります。ここは数字を並べて決める場面です。
4つの数字の並べ方は解体と売却どちらが得かの記事にまとめています。
表は横にスクロールできます
| 見るところ | 建物ごと売る | 壊して土地で売る |
|---|---|---|
| 先に出ていくお金 | なし | 解体費(木造の坪単価と総額は解体費用の相場の記事) |
| 固定資産税 | 住宅用地の特例が続く(特定空家等・管理不全空家等の勧告を受けると、建物があっても外れます) | 建物がなくなると特例から外れ、土地の税が上がることがある(特例の中身は売る手順の記事) |
| 買い手の広がり | 住みたい人・直して使う人・買取会社 | 家を建てたい人(※建て替えができる敷地であることが前提) |
| 再建築不可の敷地 | 現状のまま使える建物として売る道が残る | 壊すと建てられない土地になる。慎重に判断する |
| 市区町村の補助 | — | 解体の補助金がある市区町村もある(空き家の補助金と特定空き家の記事) |
とくに再建築不可の敷地は、壊す前に立ち止まります。いま建っている家は使えても、更地にすると新しい家を建てられない土地になり、買い手がさらに狭まることがあるためです。
一方で、傷みが進んで人が住めない家では、建物があること自体が買い手を遠ざけます。解体費の見積もりと、建物ごとの査定額を両方そろえてから比べると、取り違えが起きにくくなります。
更地にする場合は、税の特例が使えるかどうかも数字に効いてきます。亡くなった親が1人で住んでいた家を売る場合、条件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける特例があります。国税庁は、令和6年1月1日以後の譲渡で、その家と敷地を相続または遺贈により取得した相続人の数が3人以上である場合は2,000万円までとしています。取壊しをしてから土地を売る場合も対象になりえます。条件と期限は相続した空き家を売る手順の記事で国税庁の原文とあわせて整理しています。

査定と解体見積もりを比べる|一括査定・一括見積もりと、自分で探すときの確認点
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売れない家ほど、1社の査定額だけで決めないほうが、判断の材料が増えます。買い手が限られる家は会社ごとに評価が割れやすく、金額の幅が大きく出るためです。
下の2社の公式の表記は2026年9月20日に確認したものです。2社とも、当サイトが紹介料を受け取る関係にある会社です。
表は横にスクロールできます
| 相談先 | 用途 | 売れない家で見るところ | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| リビンマッチ | 売却の一括査定 | 仲介と買取の入口が分かれていて、両方の金額の出方を並べられる | 建物ごと売る場合の幅を先に知りたい人 |
| 解体無料見積ガイド | 解体の一括見積もり | 壊して土地で売る場合に、先に出ていく解体費の幅が分かる | 更地にするかどうかを費用で判断したい人 |
| 自分で探して直接頼む | 売却・解体 | 地元の会社は、隣地の事情や道路の経緯を知っていることがある | 地元の会社に心当たりがある人 |
売却の一括査定約2,100社以上東証グロース上場の会社が運営
リビンマッチ
| 運営 | リビン・テクノロジーズ株式会社(東証グロース上場・証券コード4445) |
|---|---|
| 所在地 | 東京都中央区日本橋堀留町1-8-12 ホウライ堀留ビル8階 |
| 参加社数 | 「全国約2,100社以上の不動産会社から比較」 |
| 実績 | 「年間240,000件の査定依頼・資料請求実績」 |
| 入力 | 「最短45秒ネットでお手軽査定依頼」 |
| 売り方の入口 | 不動産売却・不動産買取・任意売却・リースバック |
| 費用 | 「ご利用料金は0円」 |

- 「全国約2,100社以上の不動産会社から比較」(公式トップの表記)。参加する会社が多いほど、買い手が限られる家でも査定を出す会社に当たりやすくなります
- 入口が不動産売却と不動産買取に分かれています。再建築不可や共有持分の家でも、買取側の入口から金額が出るかどうかを試せます
- 向く人:半年売れていない家の値付けが妥当かどうかを、複数の会社の見立てで確かめたい人
- 査定額は各社の見立てで、その額で売れると決まったものではありません
- 買い手が限られる家は、査定に応じる会社が偏ります。連絡が来る社数が、思ったより少ないこともあります
- 再建築不可や共有持分の家は、会社によって扱いが分かれます。最初の連絡の段階で、その条件を伝えたうえで査定を頼むほうが早く進みます
解体の一括見積もり無料で6社まで比較補助金申請サポート
解体無料見積ガイド
| 運営 | 一般社団法人あんしん解体業者認定協会 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都港区芝浦4丁目12-31 VORT芝浦WaterFront 4階 |
| 同時依頼 | 「無料で6社まで比較できます」 |
| 業者の条件 | 「解体工事業登録(500万円未満)または建設業許可(500万円以上)を適切に取得し、解体工事施工技士などの有資格者が在籍し、損害賠償責任保険へも加入済みの業者のみをご紹介」 |
| 補助金 | 「補助金申請サポートも無償対応」「申請実績3,500件以上」 |
| 費用 | 「仲介手数料など一切無料」 |

- 「無料で6社まで比較できます」(公式の表記)。更地にするかどうかを迷っている段階でも、先に出ていく解体費の幅を確かめられます
- 紹介する業者の条件に、解体工事業登録または建設業許可・有資格者の在籍・損害賠償責任保険の加入を挙げています。市区町村の補助金で求められる許可や登録の確認と見比べやすくなります
- 向く人:建物ごとの査定額と、解体費を引いた土地の値段を並べて比べたい人
- 解体費は現地を見ないと確定しません。道が狭く重機が入らない敷地や、残置物が多い家は、見積もりのあとで金額が動くことがあります
- 見積もりを取ることと、解体を契約することは別です。金額を見てから決められます
- 市区町村の補助金を使う場合は、契約の前に申請が必要な制度が多くあります。順番を間違えると対象外になります
自分で探して直接頼む場合|売れない家で確かめる3つ
地元の不動産会社や解体業者に直接あたる方法もあります。買い手が限られる家では、次の3つを最初のやりとりで確かめておくと、話が空回りしにくくなります。
- その条件の家を扱った経験があるか:再建築不可・共有名義・残置物の多い家など、こちらの事情を先に伝えて、扱えるかどうかを聞きます
- 買取か仲介か:自社で買い取るのか、買い手を探すのかで、出てくる金額の意味が変わります
- 隣地への打診をどう考えるか:前の章で触れた隣地への打診を、最初のやりとりで持ち出せるかどうかを聞きます
不動産会社が免許を持っているかどうかは、国土交通省の建設業者・宅建業者等企業情報検索システムで調べられます。
まとめ|値下げの前に、道路と名義を確かめる
売れない空き家で最初にやることは、値下げではありません。①道路 ②名義 ③家そのもののどれが原因かを切り分けることです。
①と②で「建て替えができる/できない」「誰の同意が要る」がはっきりすると、③以降の数字の意味が変わります。再建築不可の敷地は、壊す前に立ち止まることだけは覚えておいてください。更地にすると、建てられない土地になることがあります。
よくある質問
再建築不可の家は、まったく売れないのですか?
売れないと決まったわけではありません。いま建っている家は使えるため、直して使う人や買取を行う不動産会社が相手になります。また建築基準法第43条第2項は、一定の基準に適合する建築物で特定行政庁が支障がないと認めたもの(第1号の認定)や、建築審査会の同意を得て許可したもの(第2号の許可)について、第1項を適用しないと定めています。認められるかどうかは敷地ごとの判断なので、市区町村の建築の窓口で確かめてください。
自分の家が再建築不可かどうかは、どこで分かりますか?
市区町村の建築を担当する窓口(建築指導課など)です。前の道が建築基準法の道路にあたるか、その幅はいくつか、敷地が接している長さが2m以上あるか、第43条第2項の認定・許可の例があるかを聞きます。建築基準法第43条第1項は敷地が道路に二メートル以上接しなければならないとし、第42条第1項は道路を幅員四メートル以上のものと定めています。登記の書類だけでは判断できません。
きょうだい3人の共有名義です。1人が反対したら売れませんか?
家や土地そのものを売ることは、民法第251条第1項がいう「変更」にあたる場面です。同項は、各共有者は他の共有者の同意を得なければ共有物に変更を加えることができないと定めています。一方、草刈りや応急修理のような保存行為は各共有者が単独でできます(第252条第5項)。話がまとまらないときのために、第256条第1項は各共有者がいつでも分割を請求できると定めています(五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない、というただし書きがあります)。第258条第1項は、協議が調わないとき、または協議をすることができないときに、裁判所へ請求できるとしています。実際の進め方は、司法書士や弁護士に相談してください。
連絡が取れないきょうだいがいます。どうすればいいですか?
民法第251条第2項に、連絡のつかない共有者がいる場合の定めがあります。共有者の所在が分からないとき、裁判所は、共有者の請求により、その共有者以外の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができます。催告しても賛否を明らかにしない共有者がいる場合は、第252条第2項に管理に関する事項の定めがあります。いずれも裁判所の手続きが必要です。制度の全体像は法務省の「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し」のページで確認できます。
更地にしたほうが売れますか?
家の状態と敷地の条件で変わります。人が住める状態なら、建物ごとのほうが買い手の幅が広いことがあります。更地にすると住宅用地の特例から外れて土地の固定資産税が上がることがあり、解体費も先に出ていきます。とくに再建築不可の敷地は、壊すと新しい家を建てられない土地になります。建物ごとの査定額と解体費の見積もりを両方そろえてから比べてください。
近所の取引価格は、どこで見られますか?
国土交通省の不動産情報ライブラリで公開されています。国土交通省は、平成18年4月から不動産取引当事者へのアンケート調査をもとに情報を蓄積し、約547万件(令和7年3月31日時点)の取引価格情報を提供しているとしています。公開項目は所在地(町・大字レベル)、取引時期、取引価格(有効数字2桁)、土地の面積・形状、建物の用途・構造、床面積、建築年、前面道路、最寄駅、用途地域、建ぺい率、容積率等です。番地までは出ないため、1件で判断せず件数を並べて幅を見ます。
この記事で参考にした資料 (2026年9月20日確認・タップで開く)
- e-Gov法令検索建築基準法(第42条第1項=道路の定義/第43条第1項=接道/第43条第2項=認定・許可/第43条第3項=条例による付加)
- e-Gov法令検索民法(第251条=変更/第252条=管理・保存/第256条=分割請求/第258条=裁判による分割)
- 法務省所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(令和3年の民法・不動産登記法の改正と相続土地国庫帰属法)
- 国土交通省不動産取引価格情報提供制度(約547万件・令和7年3月31日時点/公開項目)
- 国土交通省不動産情報ライブラリ(不動産価格情報の検索)・操作マニュアル
- 国土交通省建設業者・宅建業者等企業情報検索システム(宅地建物取引業の免許・建設業の許可の確認)
- 国税庁No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(相続人が3人以上の場合は2,000万円)
- 各サービスの会社情報・所在地・参加社数・実績=各社公式サイトの表記(2026年9月20日に公式トップで確認)
